AIゼーション vol.8

AI界隈は本当に覚えることが多いですね(それゆえに面白いとも言えますが)。

RAG(検索拡張生成、Retrieval Augmented Generation)は、企業に蓄積された社内データや外部の最新情報を有効活用する生成AI技術です。LLM(大規模言語モデル)に外部データを基にした回答を生成させることで、より正確で信頼性の高い回答を引き出す手法で、従来のファインチューニングと異なるアプローチが注目されています。

なぜRAGが必要なのか?

従来の生成AIは、学習済みデータから回答を生成するため、リアルタイムで変わる情報や限定的な社内情報に関する質問には対応しづらいです。RAGはこの課題を補い、社内規定や最新情報をもとにした特定業務の質問に答えることで、生成AIの業務活用範囲を拡大します。また、事実に基づかない回答や誤解を避ける効果(いわゆる“ハルシネーション”の低減)も期待されます。

RAGの仕組み

RAGには、検索フェーズと生成フェーズの2段階があり、次のように機能します:

  1. 検索フェーズ:質問に関連する社内文書や外部データを検索します。まずユーザーの質問に対して関連の深い文書を特定し、RAGはこの文書を用いて生成AIが回答できるよう支援します。
  2. 生成フェーズ:取得した文書情報を付加してLLMに送信し、より精度の高い回答を生成します。関連情報を含めることで、LLMが独自に回答するよりも正確性が高まり、情報源も確認可能です。

RAGとファインチューニングの違い

RAGは外部データの検索を組み込み、都度新しい情報にアクセスできるため、特定の業務知識を活かした回答に適しています。一方、ファインチューニングは特化モデルの追加学習で、特定の形式や口調での回答が得意です。したがって、最新情報に基づいた回答が求められる場面ではRAGが有効です。

RAGの精度を高めるノウハウ

  1. 検索方法の工夫:検索方法はキーワード検索、ベクトル検索、ハイブリッド検索などがあります。セマンティックランク付けを活用することで、関連性の高い文書がより精度よく見つかるようになります。
  2. ベクトル化の留意点:質問と文書を数値表現(ベクトル)に変換し、関連性を判定します。検索フェーズでのベクトル化や検索システムの最適化により、RAGの性能が向上します。

RAGを用いたアプリケーション例

例えば、社内情報を反映した回答生成や、回答に参照元を表示するシステムにRAGを応用することで、信頼性の高い応答が可能になります。これは、企業の情報システムにRAGを組み込む上で有効です。

RAGの導入のヒント

最新のLLMにRAGを統合することで、企業は信頼性の高いAI活用が可能になります。RAGを使うことで、業務知識を活かし、リアルタイムのデータに基づいた正確な回答が得られるため、生成AIの導入を進める際の一助となるでしょう。

それではまた、ごきげんよう!